鉄鉱石65%値上げで妥結

先週のニュースになりますが、鉄鋼メーカーと鉄鉱石メジャー間の鉄鉱石価格は結局65%で妥結したそうです。
1番目の記事に想定よりは低いという見方も出てますが、基本的には供給側がしてやったりの結果だと思いますね。
コークス原料の石炭価格の方も厳しい値上げとなる情勢のようです。
新日鉄などの鉄鋼メーカーサイドは当然、鋼材価格へ転嫁したいわけで、鋼板25%以上の値上げを打ち出しています。
一方、トヨタ自動車などは製品メーカーサイドは総じて価格転嫁が難しい状況と見ていて、鉄鋼メーカーサイドと
コスト負担を共有したい方針です。

元々の懸念材料として知られていたので、今回の報道直後の新日鉄トヨタなどの株価はしっかりしていましたが、
国内自動車、家電メーカー(あと状況によっては鉄鉱メーカーサイドも)の収益圧迫材料には違いありません。


恩恵を受けるのは当然、海外鉄鉱石メジャーのリオドセ(RIO)、リオ・ティント(RTP)、BHPビリトン(BHP)等です。
今回に始まったことではなく資源高の流れが続いているだけに鉄鉱石メジャー企業の株価は比較的堅調な値動きが
続いています。

鉄鉱石65%値上げ…鉄鋼各社とブラジル資源最大手合意
FujiSankei Business i. 2008/2/19

 国内鉄鋼大手各社と資源最大手ヴァーレ(旧リオドセ、ブラジル)が、2008年度の鉄鉱石価格について、世界に先駆け、65%の引き上げで妥結したことが18日、分かった。1トンあたりの価格は80ドル弱となり、約30ドルの値上げ幅は過去最高。

 交渉は長期化も予想されたが、中国の需要増を受け、「長引けば、さらに値がつり上がる」(鉄鋼幹部)と判断した。もう一方の主原料、原料炭の値上げも控え、鉄鋼各社による自動車メーカーなどへの大幅な価格転嫁要請の機運が高まりそうだ。

 値上げは6年連続で、上げ率は05年に同じく国内鉄鋼各社とヴァーレが合意した71・5%に次ぐ歴代2位。妥結対象は、ブラジル産粉状鉄鉱石(粉鉱石)だが、今回の上げ率は、国内輸入鉄鉱石の6割を占める豪州産などにも波及し、各国の価格交渉の指標ともなる。

 鉄鋼各社が値上げを受け入れた背景には、高騰する足下の鉄鉱石市況がある。インドから中国向けなどの市場取引(スポット)価格は今年に入り、相対取引が基本の長期契約価格の3倍(約140ドル)に高騰。JFEスチールの馬田一社長は今月6日、日本外国特派員協会で講演し、「スポット価格との開きが大きく、資源各社との交渉は厳しい状況」と説明していた。

 一方、今回の妥結額を「想定(70〜80%)より低い」(商社幹部)と見る向きもある。世界3大資源メジャーの一角であるヴァーレ。寡占化を狙う英豪BHPビリトンとの同リオ・ティントに対する買収劇を横目に、需要家である鉄鋼メーカーとの連携を深め、主導権を確保する狙いも透ける。

 ≪転嫁10%以上も≫

 08年度の鉄鉱石値上げによる国内鉄鋼メーカーの年間コスト負担増は年間約5000億円。さらに、国内鉄鋼メーカーが7割弱を頼る豪州の原料炭は、水害による供給減で、大幅な値上げに向け交渉中だ。

 鋼材平均価格は現在、1トンあたり約8万円と、5年前の底値から約3万円回復した。だが、続く原料価格高騰に「一企業の努力だけで吸収できるものでない」(新日鉄、三村明夫社長)と、さらなる値上げ姿勢を強める鉄鋼各社。値上げ幅は1割以上を要請する見通しで、消費財にも価格転嫁の影響が及ぶか注目される。

(http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200802190008a.nwcより)

鉄鉱石値上げ 鋼材価格の交渉、製品価格への転嫁が焦点に
2月19日9時42分配信 毎日新聞

 新日本製鉄などが18日、鉄鉱石購入価格の約65%値上げを受け入れ、販売する鋼材価格の引き上げ交渉に入ることになり、鋼材を使用する自動車や家電などの価格に波及するかが、今後の焦点となる。自動車・電機各社は製品への価格転嫁に慎重で鉄鋼メーカーとの交渉には厳しい姿勢で臨む方針だ。ただ、消費者に価格転嫁しないと、企業側の負担が増し、賃金抑制などに跳ね返る恐れもある。【谷川貴史、森山知実】

 18日合意したブラジル産に続いて豪州産も65%の値上げで決着すれば、日本の鉄鋼業界全体では対前年比で約5000億円の負担増になる見通し。鋼材の平均価格は現在1トン約7万9000円だが、鉄鋼各社は4月以降に2万円程度引き上げて10万円台にしたい考えだ。

 だが、トヨタ自動車渡辺捷昭社長は18日、「(鋼材価格引き上げを)価格に転嫁するのは非常に難しい。原価低減の努力をする余地があり、鉄鋼メーカーとも話し合っていきたい」と語った。

 07年の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は25年ぶりの低水準に落ち込んでおり、ここで値上げすると車離れに拍車をかけかねない。日産自動車も「ガソリン価格も値上がりし、とても転嫁できる状況ではない」と、鉄鋼メーカー側に応分の負担を求める方針だ。

 電機メーカーも量販店での価格競争が厳しく、鋼材を使う冷蔵庫や洗濯機などの製品価格にはおいそれと転嫁できない。「製品の設計段階で小型・軽量化を進める」(三菱電機)と、コスト削減を進める構えだ。

 自動車・電機各社はこれまで原材料費の高騰を部品統合などの原価低減で吸収してきた。トヨタの07年3月期連結決算は原価低減で営業利益を1000億円押し上げた。だが、原材料費高騰が長引き、原価低減効果は03年3月期の3分の1に低下し、コスト削減は難しさを増している。

 今春闘でも、経営側は、景気減速懸念に加え、原材料費の高騰も理由に賃上げに慎重な姿勢を示している。一段のコスト削減は企業収益を圧迫し、最終的に賃金抑制につながりかねない。

 一方、今回の鉄鉱石の値上げが大幅なだけに、メーカーのコスト削減が限界に達すると、自動車や冷蔵庫・洗濯機といった家電製品の値上げにつながる可能性もある。食品や日用品での値上げが相次ぐ中、消費者の買い控えを加速し、消費を冷え込ませかねない。

(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080219-00000004-maip-bus_allより)