流動性対策 気になること

今回FRBと欧州中銀が打ち出した流動性対策は以下のようなものなのですが、不良債権化しているサブプライム関連証券を
米国債と担保交換してあげますよ、ということなのですね。
これを聞いてパッと思い出すのが、かつて問題視された「飛ばし」ですね。
まぁ、B/S上のごまかしとでも言いましょうか。


この世に魔法の杖は存在しない、と思いますが、さてどうなりますか。


一時的な資金ショートのリスクは軽減しますが、本質的な問題解決となるのか?ということが一つ。
もう一つは、ゴミのような債権の身代わりにされる米国債、強いてはドルの信任毀損に拍車を掛けるのでは?ということ。
米国債先物価格の方は、昨日は急落したものの今晩は急騰していて、単なる株価と逆相関連動の域に留まっており、
波乱の兆しは今は見えません。

FRBが証券貸出拡充で新たな流動性対策、各国中銀も協調
2008年 03月 12日 07:27 JST

[ワシントン 11日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など欧米5中銀は11日、クレジット市場収縮に向けた協調対応として新たな流動性対策を発表した。

 FRBは新ターム・セキュリティーズ・レンディング・ファシリティ(TSLF=ターム証券貸出制度)でプライマリーディーラーに対し、最大2000億ドルの財務省証券を期間28日で貸し出すことを決定。週間入札で3月27日から実施する。入札の詳細な計画はプライマリーディーラーと協議中とした。受け入れ担保は、政府機関債、政府系機関発行の住宅ローン担保証券(RMBS)、民間発行のトリプルA格付けRMBSなど。プライマリーディーラーにとって、不人気のモーゲージ証券に代わり流動性の高い財務省証券での借り入れが可能となる。

 ただFRBは、格付け会社が格下げ方向での見直しを行っている民間発行のRMBSについては、担保として受け入れない、としている。これにより受け入れ担保が減るが、FRBは、入札の用件を満たす担保は最大で1兆ドルに上る可能性があるとの認識を示している。

 FRBは今回の措置の目的について「財務省証券や他の担保での資金調達市場での流動性を促進し、金融市場の機能を一段と広範に高めるため」と説明。ECBおよびスイス中銀との間ですでに設定されている為替スワップの拡大については、米連邦公開市場委員会(FOMC)がこれを承認したことを明らかにした。

 市場は株高/債券安で反応、ダウ平均株価.DJIは一時250ドルを超える上げとなった。ウニクレディト(ウィーン)の新興国市場調査部長、マーティン・ブラム氏は「FRBや世界の各中銀は誰もが求めるキャッシュを短期的に供給した。各金融機関にとってキャッシュが手に入れやすくなった点が重要だ」と指摘した。

 他の欧米中銀も協調対応を発表。ECBは最大150億ドルの資金入札(期間28日)を実施すると表明した。スイス国立銀行は最大60億ドルの資金入札を行うとし、カナダ銀行も40億カナダドルを供給するとした。

 英中銀(イングランド銀)も長期オペによるポンド供給策を発表した。

 FRBは7日、3月のターム物入札の供給額を1000億ドルに引き上げ、さらに累計で1000億ドル規模の期間28日のターム物レポを週間で実施すると表明したばかり。この日の発表で新たに発表した流動性の規模は4000億ドルとなった。

 市場ではこのところ、モーゲージや金融機関に対する懸念が高まっていた。投資家は債券市場全般に対する様子見姿勢を強め、価格は大幅に下落、売り出し予定額に達しない例も相次いでいる。

 市場では今回の措置を好感する見方も出ているが、一部アナリストは効果の持続性に疑問を示している。FRBなどによる過去の措置は一定期間、市場回復を支援したが、クレジット市場が再び混乱すると不安定な動きに戻る展開になっている。

 AIGサンアメリカ・アセットマネジメント(米ジャージーシティー)のシニア・ポートフォリオ・マネジャー、マイケル・チア氏は、効果は1―2日間だろうとした上で「資金のプライスと流動性、カウンターパーティリスクが主要な問題で、このうち最初の2つはフェデラルファンド(FF)金利や資金調達プライスの低下で対応できるが、カウンターパーティ・リスクの軽減には結びつかない」と話した。

 FRBは昨年9月中旬以来、政策金利を合わせて2.25%ポイント引き下げており、来週開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)でも少なくとも0.50%ポイントの追加利下げが予想されている。

 ただゴールドマン・サックスエコノミスト、ジャン・ハツィウス氏は、FRBが新たな流動性対策を発表したことによって、より積極的な利下げが実施される可能性が低下した、との見方を示している。

 同氏は、顧客向けのリサーチノートで「FRBが市場の圧力を緩和するため最大限の努力をしていることが明らかになった。FRBが今回の措置を利下げの代わりと見なしているなら、18日に75ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる確率は低下する」と述べた。

(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-30772720080311より)